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日銀が検討予定の“政策金融まがい”の貸出制度はきわめて問題

 2010-05-18
日銀が、民間金融機関による成長分野への融資を支援する、新しい貸出制度の議論を始めるという。検討予定の貸出制度は、日銀が直接、成長分野に融資するわけではなく、民間金融機関が成長分野へ融資しやすいように、日銀が金融機関に低利で貸出を行うもの。日銀は昨年12月、0.1%の金利で期間が3カ月の資金を貸し付ける「新型オペ(公開市場操作)」を導入したが、この貸付期間を6ヶ月~1年程度に延ばし、金融機関による貸出を促進するという。

政府は以前、これからの新たな成長分野として環境・エネルギー分野などを掲げていたが、その育成を金融面から支援するという意味合いもあるのだろうか。しかし、いくら直接、企業に融資するわけではないとはいえ、日銀が民間企業の具体的な事業を想定した上で金融機関への貸付を行うのは、きわめて問題だ。

日本では日本政策投資銀行(DBJ)が政策金融的な融資業務を行っているが、検討予定の貸出制度は、日本政策投資銀行の業務に類似した貸付を、日銀が間接的に行うようなものだ。ちなみに日本政策投資銀行は政府が100%出資する株式会社で、特殊会社化により2012年~2014年をメドに政府保有株式を全て処分して完全民営化される予定だったが、昨年7月の法改正で、2011年度末をメドに組織のあり方を検討し、その結果に基づく措置が講じられるまでは政府保有株式の処分は行わないことになった。この措置だけでも後退といえるのに、日銀にまで政策金融に類したことを始めさせるつもりなのだろうか。現政権下で郵政事業の事実上の官業化が進み、限度額引き上げによる郵貯の肥大化や、それに伴う民間金融機関の経営圧迫が懸念されている折、金融分野で「官から民へ」の路線に逆行する動きがさらに強まることになりかねない。

中央銀行の本来的な役割が「通貨価値の維持」と「金融システムの安定」であることを考えると、新しい貸出制度はそれを逸脱している。日銀はさらなる金融緩和などをめぐる政府筋からの圧力を回避するために、このような貸出制度を一応検討することにした可能性もあるが、いずれにせよ、中央銀行である日銀が“政策金融まがい”のことを行うのは望ましくない。

さらに言えば、政府が成長分野を具体的に掲げて介入することも、あまり意味のあることとは思えない。それよりも、規制緩和を強力に推進し、法人税の引き下げなどを行ったほうが、よほど実効性があるだろう。


※関連エントリー
■亀井氏のごり押しが通った、郵貯の預け入れ限度額引き上げ

日本の終身雇用はどうなる

 2010-03-08
前回の記事で、半数近い企業において2010年度の正社員採用予定がない、という記事を書いた。終身雇用を前提として、新卒定期採用という機会にかける学生にとっては、深刻な事態だろう。

日本企業、なかでも規模の比較的大きい企業では、雇用慣行として終身雇用と新卒定期採用がセットになっているため、多くの学生は新卒入社をめざして就職活動(いわゆる「就活」)に全力投入する。この機会を逃すと条件のいい就職はきわめて困難になる(と認識されている)ため、学生も必死だ。しかも、リーマンショック後の世界同時不況の影響で、学生の安定志向はさらに強まっている。

終身雇用と新卒定期採用がセットだといっても、核は終身雇用であり、新卒定期採用は終身雇用制度の重要な構成要素という位置づけだ。日本の(特に大手企業の)雇用制度を特徴づけるのは、やはり終身雇用なのだ。

では、なぜ日本では終身雇用という制度ないしは慣行が、(揺らぎつつあるとはいえ)現在でも根強く続いているのだろうか。

よく理由として挙げられるのが、日本では正社員の解雇が法的に非常に困難だということだ。確かに国際的に見て、日本では正社員に対する解雇規制がきわめて強い。しかし、仮に現状ほど厳格な解雇規制がなかったとしても、多くの企業は日常的に安易に解雇を行うとは考えにくい。それとは逆に、リストラなどの目的で、実質的な人員整理はかなり行われているのも現実だ。つまり、強い解雇規制のために終身雇用が成立したとは必ずしも言えないのだ。むしろ、慣行となっている終身雇用を法的にも保護・強化するために、厳格な解雇規制が後追いで導入されたとも考えられるのだ。

終身雇用が日本人の国民性に合致していることを、理由に挙げる人もいる。日本では機能集団が共同体になる傾向があるため、終身雇用が日本人の気質に向いているのは事実だろう。しかし終身雇用という慣行は、日本にそれほど古くからあったものではない。歴史的には昭和初期の戦時体制下で萌芽が見られ、終戦後の復興期に本格的に確立した、意外と新しいシステムなのだ。経済・社会環境としては、高い経済成長率や、若年層ほど多い人口構成(人口ピラミッド)なども、終身雇用の導入を容易にした条件だ。

そもそも終身雇用に経済合理性がなければ、長い年月にわたって続いたわけがない。実は終身雇用は、企業と労働者の双方にとってメリットのある、Win-Winのシステムだったのだ。企業側にとっても、長期的に安定して労働力を確保することができる、終身雇用を実質的に保証する代わりに賃金コストを抑えられる、人材流出を心配することなく安心して人材教育に投資できる、労働者が獲得したノウハウが社内に蓄積されていく、などのメリットがあった。

しかし、逆に、終身雇用が企業と労働者の双方にとって必ずしもWin-Winのシステムでなくなった場合、その経済合理性は揺らぐことになる。労働者や就職をめざす学生などは依然として終身雇用を望む声が多いようだが、企業側は終身雇用の維持を原則としつつも、一面ではそれを負担に感じるようになっているのではないだろうか。

日本経済の慢性的な低成長、新興国の急速な追い上げ、グローバル化の進展、デジタル化・ソフト化の進展など、特に1990年代以降、日本経済を取り巻く環境は激変している。ここにきて人口増加も停止し、今後は人口構成の高齢化がさらに進んでいく。従来型の製造業に最適化され、労働力の流動性に乏しい日本の雇用慣行では、このような環境変化に対応していくことは必ずしも容易ではない。

かつての高度成長期には有効だった雇用慣行をそのまま維持し続けるのでは、日本経済は全体として人的資源を有効に活用しきれず、国際競争力がじわじわと低下していくことになりかねない。日本の雇用慣行についても、日本経済の将来を見据えて根本的な見直しが必要なのではないだろうか。

2010年度の正社員採用、半数近い企業が予定なし

 2010-03-06
帝国データバンクは3月3日、『2010年度の雇用動向に関する企業の意識調査』を発表した。

『2010年度の雇用動向に関する企業の意識調査』
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1002.pdf
調査期間は2010年2月17日~28日。
調査対象は全国2万1,750社で、有効回答企業数は1万624社(回答率48.8%)。
雇用動向に関する調査は2005年2月、2006年2月、2007年2月、2008年3月、2009年2月に続き6回目。

まず、2010年度(2010年4月~2011年3月入社)の正社員(新卒・中途入社)の採用状況については、「増加する(見込み含む)」と回答した企業は全体の1割強の14.3%にとどまった。これは、2009年度見込み(2009年2月調査)の11.2%と比べると3.1ポイント増加しているとはいえ、正社員の採用状況は依然厳しい。リーマンショック後の急速な景気後退は当面の底は打ったようだが、経済活動は回復しつつも低水準にとどまっており、決して先行きを楽観できる状況ではない。企業がここで正社員を増やすというリスクを回避しようと考えるのも、やむをえない経営判断だろう。

さらにショッキングな調査結果も出ている。正社員について「採用予定なし」と回答した企業が、全体の半分近い47.5%もあるのだ。過去5回の調査では、雇用環境が比較的良好だった2005年度は21.2%、2006年度は25.5%、2007年度は25.2%で、サブプライム問題が景気に波及した2008年度は30.4%に増えた。これが、世界同時不況の打撃を受けた2009年度は45.9%と一気に増え、2010年度は前年度をさらに1.6ポイント上回る深刻な結果となった。正社員について「採用予定なし」と回答する企業の割合が3年連続で増大し、全体の半分近くに迫っているのが現状なのだ。

一方、非正社員についても、企業の採用意欲は減退している。2010年度の非正社員(派遣社員、パート・アルバイトなど)の採用状況については、「増加する(見込み含む)」と回答した企業は全体のわずか6.2%だった。これに対し、非正社員について「採用予定はない」という回答は57.0%と、2年連続で6割近くになった。非正社員の採用状況は、正社員以上に厳しいことが窺われる。

雇用調整については、「すでに実施した」と回答した企業が22.1%、「今後検討する」が12.2%だった。雇用調整を「すでに実施した」「現在、実施している」「現在は実施していないが、今後実施を検討する」のいずれかの回答があった企業に対し、雇用調整の方法について質問したところ、1位は「中途採用の削減・中止」の36.7%、2位は「新卒者採用の削減・中止」の35.7%だった。

自社の属する地域・業界の雇用環境が改善する時期については、1位は「2011年度」の22.8%、2位は「長期的に改善する見込みはない」の22.6%、3位は「2012年度」の18.8%、4位は「2013年度以降」の9.3%となった。総じて、今後の雇用環境については厳しい見通しとなっている。なかでも「長期的に改善する見込みはない」という回答が2割を超えていることは、事態の深刻さを窺わせる。

今回の調査結果から、直近のある程度の景気回復にかかわらず、雇用情勢については依然として厳しい状況が続いており、さらに、今後についても悲観的な見通しが多いことが分かる。経済活動の水準が低下し、景気の先行きも楽観できない中、企業では従業員数の過剰感が強まっているものと思われる。今後は採用抑制が長期化する一方で、雇用調整もじわじわと進みそうだ。

ところが、このように深刻化する雇用情勢に対して、政府が有効な対策を打ち出しているとは思えない。

たとえば、雇用調整助成金の利用状況についても今回の調査で質問しているが、現在までに18.6%の企業が利用し、今後は14.2%が検討すると回答している。この雇用調整助成金は、はたして有効な対策なのだろうか。雇用維持が苦しい企業に国が補助金を出すことにより、企業は一時的には楽になるだろうが、長期的に見れば、市場から退出すべき企業や事業を延命させる、産業構造の転換が進まない、人的資源の最適配分が阻まれる、などの弊害が出てくる可能性もある。

また、派遣労働を禁止したり、労働者の正社員化や正社員保護を強化するような政策も有効性は疑わしい。メーカーが派遣労働を利用できなければ、製造コストのより安い海外に生産拠点を移転し、さらに国内雇用は減少するかもしれない。また、硬直的に正社員という形態に固執するよりも、将来的には労働形態の多様化を推進した方が望ましいかもしれない。

補助金を支出して一時しのぎをしたり、従来型の正社員の概念にこだわり過ぎた政策では、長期化・構造化する雇用情勢の悪化や、今後の産業構造の変化には対応できないだろう。政治としては、将来を見据えた真の成長策を打ち出すとともに、日本における雇用の位置づけや制度設計を根本的に見直す必要があるだろう。

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