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英国で戦後初の連立政権。比例代表制の導入はあるのか

 2010-05-13
英国は5月6日投開票の下院・総選挙で、過半数を制する政党がないという36年ぶりの異例の事態になった。第1党の「保守党」と第2党の「労働党」は、第3党の「自由民主党(自民党)」と連立協議を行っていたが、5月12日、保守党と自民党による連立政権が発足した。労働党のブラウン党首は首相の座を降り、保守党のキャメロン党首が首相、自民党のクレッグ党首が副首相に就任した。

長年、英国では保守党と労働党による二大政党制が続き、戦後は一貫して、いずれかの党が単独で政権を担ってきた。しかし今回、第二次世界大戦中にチャーチル首相が挙国一致内閣を率いて以来、戦後初めての連立内政権が成立した。

●下院・総選挙(5月6日投開票)の結果
総数:650名
(内訳)
保守党:306名
労働党:258名
自由民主党:57名

自民党の前身のひとつは、ホイッグ党の流れを汲む「自由党」である。この自由党は保守党とともに二大政党制を担った時代もあったが、20世紀に入ると衰退し、代わりに労働党が台頭して、保守党と労働党による二大政党制となった。そして自由党は、労働党から離脱した「社会民主党」と1988年に合流して「社会自由民主党」を結成し、1989年に現在の党名「自由民主党(自民党)」になった。自由党は元来、企業家などを支持基盤とする自由主義的な政党だったが、社会民主党と合流して成立した自民党は中道左派政党とされている。

保守党のサッチャー政権の後、同じく保守党のメージャー政権を経て、労働党のブレア政権が発足した。しかしブレア政権は、外交では米国ブッシュ政権との協調路線をとり、経済政策も自由市場重視で、伝統的な労働党色をあまり感じさせなかった。次の労働党のブラウン政権も、ブラウン前首相自身は党内で中道左派とされているが、ブレア政権と比べてさほど大きな路線変更はなかった。このように英国の政界ではイデオロギー的な対立が薄れ、違いが明確ではなくなっていたという事情も、今回の連立政権発足の背景にあるといえる。新政権では、キャメロン氏は保守党左派、クレッグ氏は自民党右派とされており、両者の路線は重なる部分も少なくない。さらに、移民政策や核政策などで自民党は保守党に歩み寄っている。

しいていえば、保守党がEU(欧州連合)に距離を置いているのに対し、自民党がEUへのさらなる統合に積極的であることは大きな違いだ。しかし、ギリシャ財政危機の深刻化とユーロ圏によるギリシャ支援が問題になっている現在、英国はEUに対してある程度の距離を置き続けるだろう。

英国の下院の選挙制度は「単純小選挙区制」だが、今回、キャスティングボートを握った形の自民党は、「比例代表制」の導入を主張している。世論調査では、比例代表性に賛成する意見が6割ほどを占めるという。保守党は連立協議にあたって、比例代表制の導入に明確には同意していないが、「より死票を減らす方向での小選挙区制の改正」や「選挙制度改正にあたっての国民投票」には合意している。場合によっては、比例代表制の導入が現実味を帯びてきそうだ。

英国で比例代表制導入への期待が高まっているのは、現行の二大政党制に不満を持つ層が増えているからだろう。イデオロギー対立が薄れる中、従来型の二大政党制が続いても、国民の意見を細かく吸い上げて、現実の問題に適切に対処するのが難しいと思われているのではないだろうか。

ひるがえって日本を見ると、かつての衆議院選挙はひとつの選挙区から複数の議員が選出される「中選挙区制」だったが、現在では「小選挙区制+比例代表性」に変更されている。小選挙区制を主体とする現行制度は、日本においても政権交代可能な二大政党制を成立させようとして導入されたようだが、当初の目的を果たしているかというと、はなはだ疑問である。昨年夏の総選挙でやっと、戦後初めて第1党も交代するという意味での本格的な政権交代が起こったが、その後の民主党政権は迷走を続けるばかりである。

民主党の小沢幹事長などは、英国をモデルとした政治制度を念頭に置いているようだが、その英国では小選挙区制や二大政党制への不満が強まっている。このままでは二大政党制が本来の理念通りに機能しているのは、米国くらいしか残らない可能性もある。日本の選挙制度に関しても、外国の制度を表面的に模倣するのではなく、その背景にある政治風土や社会情勢などを考察する必要がある。

振り返ると、日本のかつての中選挙区制はそんなに悪い制度ではなかったのかもしれない。中選挙区制においては、一対一の先鋭な対立を緩和でき、選挙民の多様な意見を反映させられ、大政党であれば複数の候補が同じ選挙区で競い合う、などのメリットもあった。これから日本の選挙制度を設計するにあたっては、国民性や社会の現状から遊離して、理念だけが先行するのは避けた方がよさそうだ。ただ、日本の政治の迷走は単に選挙制度の問題ではなく、もっと根深い原因があるのは間違いない。


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