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海外への興味を失い、国内志向を強める日本人

 2010-08-01
楽天が英語を社内公用語にすると表明して話題になるなど、日本企業の国際化(グローバル化)に意欲ないしは危機感を持っている人が増えている。確かに、バブル崩壊後のここ20年ほどを見ると、日本はグローバル化に立ち後れてきた。このままでは国際競争力をさらに失うのではないかと、危惧されるのも無理はない。

かつては、東京をニューヨークやロンドンと並ぶ国際金融市場にしようという構想もあった。しかし、世界の金融界で東京市場は依然としてメジャーとはいえ、その存在感は薄れている。いまや国際金融におけるアジアの拠点というと、東京よりもむしろシンガポールや香港の方が存在感がある。日本が膨大な金融資産を有していることを考えると、情けない状態だ。東京が金融でアジアの最大拠点になりきれなかった原因のひとつは、英語インフラが貧弱なことだ。英語が事実上の公用語となっているシンガポールはその点で強いし、香港もかつて英国の植民地だったこともあり、英語の通用度は高い。英語以外の要因としては、規制の強さや税の高さも挙げられる。最近では、ファンドが日本の金融庁の過度の規制を嫌って、シンガポールなどに拠点を設ける例も増えているという。税制に関しては、日本の法人税は世界水準から見て高すぎる。個人の所得税を見ても、所得が高額になるとシンガポールや香港の方が有利だ。グローバル化が進む中でシンガポール経済は活況を呈し、2009年の統計によると同国の一人当たりGDPは、日本はおろか米国をも上回っている。

近年、米国の大学・大学院に留学する留学生はアジア系では中国人、インド人、韓国人などが席巻し、日本人はとみに減っているという。国際ビジネスが商売の種である総合商社ですら、最近の新入社員は海外に赴任したがらないそうだ。このように、若者の国内志向は目立って強まっている。

どうも最近の日本人は、グローバル化がうまくいっていないというよりも、グローバル化にさほど興味がないのではないかとすら思えてくる。長年にわたって日本の経済成長はほとんど止まっており、景気がいいとは決していえず、一人当たりGDPも相対的に後退しているが、社会はそこそこ豊かで安定している。特に現在20代の若者は、日本の高成長やバブル景気などをリアルタイムで経験しておらず、低成長や不況がごく普通の状態である。現在の日本人の多くは、将来への不安や閉塞感を感じていても、絶望するほどの状況ではなく、一応それなりに暮らしている。

日本人は、あるレベルの豊かさを達成したあとで、内向き志向が強まり、ソフトな精神的鎖国状態に入っているようにも思える。

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日本が置かれている状況は「中途半端な危機」

 2010-07-23
日本は危機に瀕していると言われる。実際、不安感や閉塞感がよく取り沙汰される。日本を取り巻く環境を考えると、将来を必ずしも楽観できないのは確かだが、多くの国民は漠然とした不安をいだきつつも、妙に安心しているようにも見える。現在の日本が置かれている状況は、「中途半端な危機」と言っていいかもしれない。

危機といえば、まず経済危機だ。米国のサブプライム問題やリーマンショック以降、世界経済は変調をきたしている。このところ多少は復調の兆しが見えてきたものの、先行きは予断を許さない。日本も輸出産業を中心に、企業を取り巻く環境は厳しさを増しており、雇用も充分に回復していない。しかし世界を見渡せば、大変なのは日本だけではない。米国も欧州も経済危機から脱出しきれておらず、好調だった中国もやや翳りが見られる。世界の中で日本経済だけが特にひどいわけではないことが、危機感を薄くしている。

現在の日本は経済危機といいつつも、物は余るほど豊富だし、商品価格も安い。よくデフレが問題にされるが、物が豊富で値段も安いのは消費者にとってはいいことだ。一人当たりの所得水準も、先進国グループの中では後退してきているものの、依然として相対的には高い。GDPでは今年あたり中国に抜かれそうだが、それでも一人当たりGDPでは中国の10倍もある。アジアで一人当たりGDPが日本より高いのは、都市国家のシンガポールだけだ。また、最近の日本の若者は車や海外旅行にあまり興味を示さないと言われるが、これは経済的事情だけでなく、物や消費への欲望が希薄化しているのかもしれない。となると、なおさら窮乏しているという実感は薄くなる。

日本の製造業の底力が依然として強いことも、国民が日本経済に意外と不安をいだいていない理由だろう。今回の世界経済危機は金融危機の性格が強く、米国や英国のように金融を柱にしている経済は大変だが、日本は金融立国の道をたどらなかったこともあり、経済の根幹がおかしくなっていない。やはり、製造業が強い経済は安心だ。

財政危機については、日本の財政事情は数字だけ見れば危機的な印象を与える。菅首相も最近のギリシャ財政危機を例に挙げて、財政再建を訴えていた。しかし、日本の国債の約95%は国内で消化されている。他国からの巨額の借金で財政をまかなっている米国やギリシャなどとは、同様には論じられない。しかも、日本の個人金融資産は1400兆円と巨額である。日本国債の格付けが引き下げられたところで、たいした影響はない。もちろん日本の財政事情も手放しで楽観できるわけではないが、すぐに日本が財政破綻してIMFの管理下に置かれるような心配はない。また、日本では消費税アップへの反発に見られるように、増税への国民の抵抗感が強いため、増税の代わりに国債増発で財政をまかなってきたという面もあるだろう。

政治については、近年、日本では首相の入れ替わりが目まぐるしい。就任しても、政権担当者としての資質に疑念がいだかれ、支持率が急落することを繰り返している。しかし、その割には、政治への絶望感が広がっている様子もない。もともと日本は一般国民のレベルが平均的に高く、仲間同士の協力が得意という国民性がある。必ずしも強力な指導者が引っ張るような社会体質ではない。リーダーは誰でもいいというわけではないにせよ、一般国民の基盤が強固なため、国家指導者が多少お粗末でも、社会全体がさほど動揺するわけではない。

このほかにも様々な背景はあるが、これからも日本では「中途半端な危機」が続いていきそうだ。国民は、今後の日本は大変ではあっても、なんとかなると、心の底で思っているのかもしれない。

昭和が生み出した「ソフトでカジュアルな国家社会主義」

 2010-04-29
本日(4月29日)は「昭和の日」だ。祝日法によると「昭和の日」の趣旨は、「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」とされている。

昭和初期の戦時体制下に萌芽が見られ、終戦直後に確立した体制のもとで、戦後の日本は高度経済成長を実現し、1990年代初頭のバブル崩壊まで経済的繁栄を謳歌した。この体制は資本主義を基礎にしながらも、政府や官僚が民間を強く規制する点で社会主義的傾向が強く、また各組織では日本特有の共同体的性格も濃厚である。

1931年(昭和6年)の満州事変、1937年(昭和12年)の日中戦争の勃発を経て、総力戦遂行のために人員や物資を政府が統制運用することを目的に、1938年(昭和13年)に「国家総動員法」が制定された。1940年(昭和15年)には既存の政党が自発的に解散し、「大政翼賛会」が結成された。さらに、産業や金融の国家統制、均一な労働力を養成するための教育制度の制定、情報発信機能の東京への集中と系列化などが推進された。このような一連の施策によって構築された体制は、太平洋戦争が勃発した1941年(昭和16年)にはほぼ完成したので、「昭和16年体制」と呼ばれることもある。この体制は、ドイツやイタリアの国家社会主義(ファシズム)をモデルにしながらも日本的な要素を加味した、「日本型国家社会主義」といってよい。

1945年(昭和20年)の敗戦後、GHQによる占領政策で日本の民主化が推進されたが、昭和16年体制の基本的性格は、非軍事化された形で生き残った。軍部や財閥は解体されたが、官僚支配体制は実質的に継続する。大政翼賛会は廃止され多党制が復活したものの、1955年(昭和30年)に保守合同で自由党と日本民主党が合同し、自由民主党(自民党)が結成されてからは、自民党が万年与党であり続ける状態が続き、「55年体制」と呼ばれた。万年与党の自民党と強力な実質的権限を持つ官僚機構の密接な協力により、国家運営がなされた。教育制度については、規格品の大量生産に適した画一的な制度が維持された。企業においては、終身雇用を基本にした雇用慣行が確立した。

戦後の体制は戦前とは異なり、過度の国家主義的要素は除去され民主化されたものの、中核部分では戦前からの要素が濃厚に残った。戦後においては戦前の体制を基に修正した、いわば「ソフトでカジュアルな国家社会主義」が成立したと言ってもよいだろう。

しかし、1980年代後半に発生したバブル経済が1990年頃をピークに崩壊し、その後、現在まで約20年間にわたり日本経済は総じて不振を続けている。日本のバブル崩壊は、世界的に冷戦が終結した時期とほぼ重なっており、冷戦とともに戦後日本の繁栄も終わっていった感がある。日本の一人当たりGDPは最盛期には米国すら抜いて世界のトップクラスだったが、今や先進国グループの中でも下位に甘んじている。2008年秋のリーマン・ショック後は世界不況が日本経済を直撃し、その影響からまだ完全には立ち直っていない。日本は経済不振が慢性化する中、雇用、社会保障、財政再建など幾多の問題に直面している。

戦後の日本の高度成長を支えた条件の多くは、すでに失われている。少子高齢化が急速に進み、新興国の台頭で日本の製造業の優位性は低下し、デジタル化やソフト化では後れをとっている。硬直的な諸制度、官僚支配体制、強固な既得権の構造などが、日本の変化を阻んでいる。

昭和の時代が生み出し、戦後の冷戦期に日本で大成功した「ソフトでカジュアルな国家社会主義」は、壁に突き当たって久しい。日本は、これを乗り越えるシステムを見出し、実現しなければならない。1990年代以降、様々な改革の試みはなされてきたが、必ずしもうまくいっているとは言い難い。しかし、社会の流動性を高め、個人の創造性を重視し、分権化を進め、市場の機能を活用して、経済を活性化するとともに、充実した社会保障で安心も確保できる改革が、待ったなしで求められている。


※関連エントリー
■鳩山内閣の支持率が30.9%に。民主党政権は「55年体制の最終段階」
■日本の終身雇用はどうなる

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