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中国、人民元レートの弾力性強化を発表

 2010-06-20
中国の中央銀行である中国人民銀行は6月19日、「人民元レートの弾力性を強化する」との方針を示した。人民元は2007年5月に、1日当たりの対ドル変動幅を上下0.3%から0.5%に拡大したが、2008年夏以降には世界経済危機の進行に対処するため、1ドル=6.8元台で実質的な固定相場となっていた。このところ米国は中国に対して、人民元を切り上げるよう繰り返し要求していたが、中国政府は強く抵抗してきた。しかし今回の声明で、2年ぶりに人民元レートが切り上げられる方向になった。6月26日にカナダのトロントで開催される「G20(20カ国・地域首脳会議)」を前に、ついに人民元の引き上げに応じる用意を示した。

週明けの6月21日以降、中国は人民元の対米ドル・レートの緩やかな上昇を容認することになる。とはいっても変動レート制度に移行するわけではなく、人民元レートを当局が管理する制度は従来通り維持される。人民元レートの上昇を容認しつつも、あくまでも緩やかな変動にとどめるだろう。

輸出依存度の高い現在の中国経済にとって、輸出は死活的な重要性を持つ。好調な輸出を維持するためには、人民元レートは安い方が望ましい。また中国にとって、米国だけでなく欧州も重要な輸出先だ。最近、ユーロの対ドル・レートが大きく下がったことを考えると、なおさら人民元の上昇は避けたいのが本音だ。にもかかわらず、G20を前に、一定の譲歩もやむをえないとの政治判断が働いたのだろう。

中国にとって、人民元の上昇にはメリットもある。このところ、中国では不動産バブルやインフレの兆候が見られるが、これを早期に抑え込むには、人民元の上昇を容認した方がよい。中国は最近、世界的に資源獲得に注力しているが、そのためには人民元が高い方が購買力が高まる。外国企業の買収にあたっても、強い人民元は有利だ。

一方、米国にとって人民元の上昇がメリットがあるのかどうかは不明だ。米国の製造業の競争力を考えると、人民元が上昇しても米国企業の輸出がさほど伸びるとは考えにくいし、一方、中国からの輸入品の価格は上昇してしまう。また、中国経済の成長が鈍化したら、世界経済の回復に水をさす可能性があるし、中国に大量の米国債を購入してもらっている米国も困るかもしれない。

日本はかつて、1985年のプラザ合意を契機に円レートが急騰し、これに対抗するために金融緩和が実施されたことで未曾有のバブル景気が発生し、今度は景気の加熱を抑えるために不動産融資の総量規制や金融引き締めが実施され、バブル崩壊を招いた。中国は日本のこのプロセスをよく研究し、米国の人民元切り上げ要求に対して警戒の念をいだいており、日本と同様な事態に陥るのを避けようとするだろう。


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英国で戦後初の連立政権。比例代表制の導入はあるのか

 2010-05-13
英国は5月6日投開票の下院・総選挙で、過半数を制する政党がないという36年ぶりの異例の事態になった。第1党の「保守党」と第2党の「労働党」は、第3党の「自由民主党(自民党)」と連立協議を行っていたが、5月12日、保守党と自民党による連立政権が発足した。労働党のブラウン党首は首相の座を降り、保守党のキャメロン党首が首相、自民党のクレッグ党首が副首相に就任した。

長年、英国では保守党と労働党による二大政党制が続き、戦後は一貫して、いずれかの党が単独で政権を担ってきた。しかし今回、第二次世界大戦中にチャーチル首相が挙国一致内閣を率いて以来、戦後初めての連立内政権が成立した。

●下院・総選挙(5月6日投開票)の結果
総数:650名
(内訳)
保守党:306名
労働党:258名
自由民主党:57名

自民党の前身のひとつは、ホイッグ党の流れを汲む「自由党」である。この自由党は保守党とともに二大政党制を担った時代もあったが、20世紀に入ると衰退し、代わりに労働党が台頭して、保守党と労働党による二大政党制となった。そして自由党は、労働党から離脱した「社会民主党」と1988年に合流して「社会自由民主党」を結成し、1989年に現在の党名「自由民主党(自民党)」になった。自由党は元来、企業家などを支持基盤とする自由主義的な政党だったが、社会民主党と合流して成立した自民党は中道左派政党とされている。

保守党のサッチャー政権の後、同じく保守党のメージャー政権を経て、労働党のブレア政権が発足した。しかしブレア政権は、外交では米国ブッシュ政権との協調路線をとり、経済政策も自由市場重視で、伝統的な労働党色をあまり感じさせなかった。次の労働党のブラウン政権も、ブラウン前首相自身は党内で中道左派とされているが、ブレア政権と比べてさほど大きな路線変更はなかった。このように英国の政界ではイデオロギー的な対立が薄れ、違いが明確ではなくなっていたという事情も、今回の連立政権発足の背景にあるといえる。新政権では、キャメロン氏は保守党左派、クレッグ氏は自民党右派とされており、両者の路線は重なる部分も少なくない。さらに、移民政策や核政策などで自民党は保守党に歩み寄っている。

しいていえば、保守党がEU(欧州連合)に距離を置いているのに対し、自民党がEUへのさらなる統合に積極的であることは大きな違いだ。しかし、ギリシャ財政危機の深刻化とユーロ圏によるギリシャ支援が問題になっている現在、英国はEUに対してある程度の距離を置き続けるだろう。

英国の下院の選挙制度は「単純小選挙区制」だが、今回、キャスティングボートを握った形の自民党は、「比例代表制」の導入を主張している。世論調査では、比例代表性に賛成する意見が6割ほどを占めるという。保守党は連立協議にあたって、比例代表制の導入に明確には同意していないが、「より死票を減らす方向での小選挙区制の改正」や「選挙制度改正にあたっての国民投票」には合意している。場合によっては、比例代表制の導入が現実味を帯びてきそうだ。

英国で比例代表制導入への期待が高まっているのは、現行の二大政党制に不満を持つ層が増えているからだろう。イデオロギー対立が薄れる中、従来型の二大政党制が続いても、国民の意見を細かく吸い上げて、現実の問題に適切に対処するのが難しいと思われているのではないだろうか。

ひるがえって日本を見ると、かつての衆議院選挙はひとつの選挙区から複数の議員が選出される「中選挙区制」だったが、現在では「小選挙区制+比例代表性」に変更されている。小選挙区制を主体とする現行制度は、日本においても政権交代可能な二大政党制を成立させようとして導入されたようだが、当初の目的を果たしているかというと、はなはだ疑問である。昨年夏の総選挙でやっと、戦後初めて第1党も交代するという意味での本格的な政権交代が起こったが、その後の民主党政権は迷走を続けるばかりである。

民主党の小沢幹事長などは、英国をモデルとした政治制度を念頭に置いているようだが、その英国では小選挙区制や二大政党制への不満が強まっている。このままでは二大政党制が本来の理念通りに機能しているのは、米国くらいしか残らない可能性もある。日本の選挙制度に関しても、外国の制度を表面的に模倣するのではなく、その背景にある政治風土や社会情勢などを考察する必要がある。

振り返ると、日本のかつての中選挙区制はそんなに悪い制度ではなかったのかもしれない。中選挙区制においては、一対一の先鋭な対立を緩和でき、選挙民の多様な意見を反映させられ、大政党であれば複数の候補が同じ選挙区で競い合う、などのメリットもあった。これから日本の選挙制度を設計するにあたっては、国民性や社会の現状から遊離して、理念だけが先行するのは避けた方がよさそうだ。ただ、日本の政治の迷走は単に選挙制度の問題ではなく、もっと根深い原因があるのは間違いない。


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■サブプライム化するユーロ

サブプライム化するユーロ

 2010-05-11
ギリシャ財政危機の金融市場への波及を阻止し、ユーロを防衛するため、EU(欧州連合)財務相理事会とECB(欧州中央銀行)は5月10日、巨額の緊急支援策を打ち出した。EUは5000億ユーロの融資・融資保証を提供し、IMF(国際通貨基金)が提供する2500億ユーロと併せ、総額7500億ユーロ(約89兆円)にのぼる金融支援が決まった。前日の5月9日時点では700億ユーロの支援を行うと伝えられていたので、わずか1日で総額が10倍にふくれあがったことになる。EUの危機感の大きさと、ユーロ防衛への決意が窺われる。とりあえず、5月19日に迫っているギリシャの債務の借換期限にはなんとか間に合うようだ。

今回の支援策でギリシャ財政危機は一息つくことになったが、先行きは決して安心できない。ギリシャ国債が投資不適格のジャンク債扱いになっているように、同国の財政事情は深刻で、どのみち破綻するとの観測も根強い。ギリシャは国内にめぼしい産業はなく、公務員の高すぎる賃金も問題となっているにもかかわらず、財政緊縮化に抗議する国民の暴動も起こっている。前途多難と言わざるをえない。

火種はギリシャだけではない。ユーロ圏で、PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)と総称される国々は、財政事情に大きな問題を抱えている。ギリシャの危機をなんとか抑え込んだとしても、他のPIIGS諸国にまで波及した場合、お手上げになる可能性も強い。ユーロ圏最大の経済力を持つドイツでは、ギリシャ支援に対して国民の反発が強いという。危機の拡大で支援額がさらに膨れ上がるようだと、ドイツなどは国内世論を抑えられなくなるだろう。

本質的な問題はユーロの構造自体にある。複数の主権国家が通貨主権を放棄・移譲して共通通貨を持つという歴史的実験は、しばらくは順調だった。もし経済基盤の強固な国だけが参加し、世界経済も順調なのであれば、ユーロもなんとか信頼できる。しかし実際には、ギリシャのような経済基盤の弱い国も参加しており、そこに米国に端を発する世界金融危機が襲いかかり、ユーロが本来持っている脆弱性が露呈してしまった。

ユーロは「天気のいい日の通貨(fair-weather currency)」と言われる。経済が順調な間はいいが、いざ経済危機に直面すると脆弱性をさらけ出してしまう。米国は今回の金融危機に際して、金融・財政などを含めた強力な措置を果敢に実施した。しかしユーロを管轄するのは、特定の主権国家に属さないECB(欧州中央銀行)である。また、金融政策はECBが管轄するが、財政政策は各々の主権国家の権限に属する。ユーロ圏で金融・財政を一体化させた強力な施策を、機動的に打ち出すのはきわめて困難だ。

ユーロ圏が拡大するにつれて、あとから参加するメンバーは、経済基盤が脆弱で信用度で劣る国が多い。これが問題を引き起こす原因となる。そのような国はユーロへの参加により、本来は持てないはずの信用力のある通貨を、持つことができることになる。これはユーロの価値を内部から毀損するだけでなく、経済基盤の脆弱な国にとっては、不況などの際に通貨を切り下げて対処するという政策がとれなくなる。ユーロは参加国が拡大するにつれて、本当の価値が分かりづらい通貨になっていき、また、経済危機への対応がより困難になっていった。今回、国際金融危機の中で、そのような矛盾が一気に表面化してしまったのだ。

米国では、信用度の劣る人々への住宅ローンである、サブプライムローン債権を組み入れた金融商品が組成され、それに対して格付け会社が過大な評価を与えたことが、金融危機の原因のひとつとなった。ユーロ危機はある意味で、米国のサブプライム問題に似ている面がある。米ドルに次ぐ有力な通貨であるユーロに、信用度の劣る国があとから参加することで、いわば「ユーロのサブプライム化」が進むわけだ。しかし、サブプライムローンとは異なり主権国家が対象であるため、はるかに問題は深刻である。

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