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「アナログのすり合わせ」がうまい日本の製造業は、世界的なデジタル化の中で競争力が低下した

 2010-08-09
日本の製造業の競争力低下をもたらした要因のひとつに、IT革命を背景にしたデジタル化の進展がある。現在では電気製品をはじめとして、ハードウェアの開発といっても、その多くのプロセスが実質的にはソフトウェア開発だ。ソフトウェアを電子回路化したパーツや要素技術を組み合わせて、最終製品なハードウェア製品に仕立て上げているケースが多い。製造業におけるデジタル化の進展で、要素を組み合わせることで製品を作ることが容易になった。しかも、開発だけでなく生産工程でもデジタル化が進んだ。IT革命はネットワークや狭義のソフトウェアだけでなく、製造業をも大きく変化させた。

デジタル化により、発展途上国だった国々でも、かなりの品質の製品を比較的容易に作れるようになった。たとえば韓国、台湾、中国などは、もの作りで急速に世界での存在感を高めてきた。しかも、それらの国々は日本より人件費が安いため、日本製品はさらに激しい国際競争にさらされることになる。「デジタルの組み合わせ」が発展途上国の急速な台頭を促進し、日本のモノ作りの優位性を低下させる大きな要因となった。高度成長期の日本は、先進国でありながらも、先進国を追う発展途上国的な性格も併せ持つ、絶妙なポジションに位置し、日本の工業力にまともに対抗しうる発展途上国は存在しなかった。しかし、そのような構図はがらりと変化してしまった。

高度成長期以来、日本の製造業の強みは何だったのかというと、「アナログのすり合わせ」のうまさが挙げられる。「アナログの品質を極める」ことが日本製品の国際競争力の大きな源泉だった。現場の小集団で互いにすり合わせを行いながら品質を磨き上げていくのは、日本人が非常に得意とするやり方だ。このようなタイプのモノ作りにおいては、今でも日本は世界最強だろう。終身雇用を前提とした同質集団の仲間意識も、すり合わせを容易にした。ところがデジタル化が、そのような日本の優位性を相対的に低下させてしまった。現状では、日本の製造業が圧倒的な優位性を維持し続けられるのは、アナログ的な高品質が決定的に重要な分野や、非常に複雑な独自の製造工程を必要とする分野などに限定されつつある。

では、今後の日本の製造業はどのような道をたどればよいのだろうか。当然ながら、製造業のデジタル化やグローバル化には、積極的に対応していかなければならない。しかも、ただ対応していくのではなく、むしろ積極的に利用していく戦略と気概が必要だ。しかし、そのような方向に進んだとしても、日本の人件費が高く、今や技術面でも必ずしも最先端を走っているわけではないことがネックになる。そこで、日本製品を世界市場の中でより差別化し、付加価値をさらに高めていく必要がある。ところが現実には、日本特有の共同体的な組織の特性が影響しているのか、変化をきらう現状維持と先延ばしの大きな力が働いているように思えてならない。

もっとも、いくら製造業のデジタル化が進んでいるといっても、「アナログの品質を極める」ことが日本の製造業の大きな強みである以上、これを捨て去ることも得策ではない。むしろ、日本製品のアナログ品質をさらに磨き上げて、国際競争力を高めていくことも重要だ。製品のコモディティ化によって価格競争に陥ることを避け、付加価値を高めるには、「アナログの品質を極める」ことを通じてブランド力を高める戦略も依然として有効だろう。さらに、「アナログの品質を極める」ことと並んで、広義の文化力やマーケティング力も必要だ。いずれにせよ日本の製造業にとって、集団ですり合わせを積み重ねながら、こつこつとモノ作りに励んでいれば競争力を維持できた時代は終わっている。

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楽天が英語の社内公用語化をぶちあげたが、つっこみどころも多い

 2010-07-07
楽天の三木谷社長が「2012年末までに英語を社内公用語にする」とぶちあげて、話題になっている。三木谷社長は「英語や国際化についてこれなければ、楽天で仕事はできなくなる」と言い、“No English, No Job”と本気度をアピールしている。しかし、この構想はつっこみどころ満載だ。

現在の楽天を見る限り、海外事業の比率はわずかで、ほとんど国内市場依存の事業内容である。ユニクロを展開するファーストリテイリングは、「2012年3月から社内の公用語を英語にする」という方針を明らかにしているが、ファーストリテイリングの場合は自社店舗で販売するアパレル製品を海外工場で自社生産しており、小売業であるとともにメーカーでもある。楽天は自社でなにか生産しているわけではなく、オンライン・ショッピングモールのプラットフォームを提供するのが主たる事業だ。楽天本体を除くと、楽天グループ内では証券・金融関連事業が大きな比率を占めている。楽天が本格的に海外展開するのは、メーカーのように自社製品を持つ企業と比べると、はるかに難易度が高いだろう。三木谷社長は、外国人の大量採用に意欲をみせており、将来的には社員の何割かが外国人になり、経営陣の半分ほどが外国人になる可能性にも言及しているが、それ以前に、楽天が本格的に国際展開している姿がイメージしにくい。今年になって楽天は、中国の百度(Baidu)と提携してオンライン・ショッピングモール事業を中国で展開すると発表しているが、相手が中国では英語の必要性は微妙だ。

三木谷社長は「2年以内に全社員が英語でコミュニケーションできるようにする」と言っている。達成目標のレベルにもよるが、さすがに楽観的すぎるのではないか。日本人の集団内では、どうしても英語でコミュニケーションしなければいけない必然性は薄い。中途半端な英語を使うことで、コミュニケーションが表面的なものになってしまったり、仕事はできるが英語の不得意な人間が割を食う可能性もある。うがった見方をすると、「英語が必須の会社」というイメージを打ち出すことによって優秀な人材を獲得しやすくなる、という考えがあるのかもしれない。しかし、仕事は優秀だが英語はできない人材を失うわけで、最終的にメリットがあるのかどうかは不明だ。

本気で国際化をめざすのであれば、英語だけではだめだ。交渉能力、ディベート能力、プレゼン能力、戦略立案能力、異文化への適応能力など、国際派ビジネスマンに必要とされる資質は多岐にわたる。英語の習得だけが自己目的化するのであれば、社内が一種の英会話学校か英会話サロンのようになってしまうだけだろう。

個人投資家が出資していると原則として新規公開ができなくなる、日本証券業協会の規則改正案

 2010-07-03
日本証券業協会が「有価証券の引受け等に関する規則」等の一部改正について、7月1日までパブリックコメントを募集していたが、この改正案の内容には大きな問題がある。株式等の発行者の株主、役員、親族、従業員を除く個人投資家から出資を受けている場合には、日本証券業協会の引受会員が新規公開時の引受を行うことを原則として禁止するという。要するに、第三者である個人投資家が出資していたら、原則として新規公開は認めないということだ。改正された規則は7月20日から実施し、この日以降に新規公開する企業に適用されるという。7月20日時点ですでに個人投資家の出資を受けている公開予定企業は、それを解消しないと公開できないことになる。

ともあれ、日本の資本市場を担う証券業者の団体である日本証券業協会が、ベンチャー企業の育成や資本市場の発展を阻害するような規則をあえて制定しようとするのは、なんとも理解に苦しむ。金融規制当局などからの要請があったのだろうか。

改正案を導入する理由として、未公開株に関連する詐欺の防止が挙げられている。確かに新規公開にからんだ詐欺事件はあるにはせよ、このような対策が必要なほど蔓延しているのだろうか。例外的な事件を防ぐために異常なほど防御的な措置を講じるのは、全体的なバランスを失している。もちろん投資家保護などのために一定の規制は必要にせよ、原則禁止というのは行き過ぎではないか。それに、詐欺をたくらむ人間は、公開をにおわせて相手を騙せればいいわけで、実際には公開しなくてもいいのだから、詐欺防止のための実効性も疑わしい。詐欺防止というのは、個人投資家が未公開企業に投資すること自体を排除するために、無理矢理こじつけた理由ではないかとすら思えてくる。

米国のシリコンバレーなどでは、自らリスクをとって新興企業に投資するエンゼル投資家が、大きな役割を果たしている。日本で先端的なベンチャー企業がなかなか登場しないのは、リスクを回避する保守的な国民性もさることながら、資金調達が困難なことも大きな理由となっている。日本経済の閉塞感を打ち破るためにも、新事業に挑む新興企業が続々と現れることを促進した方が得策だ。

今回の改正案の背後にいる人々は、ベンチャー企業やそれに投資する個人投資家自体をうさんくさい存在だと思っているのかもしれない。あるいは、正体不明の挑戦者によって既存の秩序や既得権が脅かされるのを、阻止したいのかもしれない。しかし、行き過ぎた規制は「水清くして、魚棲まず」という事態をもたらし、せっかくの金の卵を殺してしまう。金融社会主義のような施策は、決して国民の利益にはならない。


※関連リンク
●新規公開前に行われる不適切な自己募集を規制するための
「有価証券の引受け等に関する規則」等の一部改正について(案)


●個人から出資を受けたらIPOできなくなる日本証券業協会の規則変更に大反対します
(isologue)


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